2016年11月23日水曜日

実験上手は料理上手?

 よく、研究室の助手さんが料理が上手な人は実験が得意だと思うとおっしゃっていました。

 それはどういう意味でしょう???

 料理が得意な人は、とにかく、段取り力が素晴らしいと思います。この料理を作っている間に別の料理の準備をする。手が空いたら、その都度、洗い物をする。動きに一切の無駄がありません。実験もその段取り力が試されるというのです。例えば、器具の使い方についてです。

 実験で液体等を扱う際、ピペットという液体を吸い出す器具を使用します。これは基本的に、細胞を含んでいる液体を使用した際、その後、他の薬品を吸い出すのに使用することはできません!!絶対にです。

 それはなぜかというと、コンタミという、細胞以外の細菌が繁殖する現象を引き起こす場合があるからです。こうなったら、しばらく実験はできません。また、他の培養皿に菌が移ってしまう恐れもあるので、怖いですね。。。

 つまり、料理で例えると、醤油を計った計量スプーンを洗わないで、塩の入っている容器につっこむことはできないですよね。それに近いのではないかと思います。DMEMを使用した後に、細胞が入っている溶液に触れることはできますが、PBSに触れることはできないのです。
 よって、細胞溶液に使用した器具は捨てなくてはなりません。基本的に、ピペットは使い捨てです。ですが、研究室には予算というものがあります。。。無駄に使ってしまってはいけないですよね。だから、あらかじめ自分が溶液を使う順番を頭の中で決めておく必要があります。最初から細胞溶液にふれるのではなく、他の溶液の調整をしてから、使用するといったように。使い捨てにするピペットを減らすのです。

 それに、事前準備も絶対に必要です。料理する時は、必要な調味料を用意しておきますよね。実験も、使用する薬品を必ず調整しておきます。途中で足りなくなって、溶液をつくっていると、その間に細胞が死んでしまうこともあります。それを防ぐために、必要な溶液はどれくらいなのか、ちゃんと考えておきます。

 これらのことを考えておくためには、正確に実験の方法が頭に入っていることが必須となってきます。料理が得意な人はレシピが頭の中に正確に入っています。もちろん、途中でレシピを見ることがあっても確認程度です。実験上手なひとは、完璧に実験方法を暗記し、事前にシュミレーションまでして、尚且つ、この実験操作は細胞にどのような影響を与えるのかまで理解しているのです。よって、実験の失敗を防ぐこともできます。

 実験上手は段取り上手。きっと、料理も得意なはず!です。こう考えると、実験も身近なものに感じられませんか?

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