2016年11月26日土曜日

実験中はおしゃれ禁止??

 こんにちは。今日は、実験の服装について紹介したいと思います。

 実験をするときは、白衣を着て、髪の長い人はまとめておきます。また、肘のところくらいまで、腕まくりをします。そして、ネイルは禁止です。

 なぜかというと、まず、髪は実験中、邪魔にならないようにするためです。腕まくりも、袖が薬品に付いたり、器具に引っかからないようにすることを防ぐためのものです。ネイルが禁止なのも、できるだけ、雑菌が入るのを防ぐためだと考えられます。そもそも、爪を伸ばすこと自体、良くないという印象でしたね。
 
 ゼミのお洒落女子はネイルができないことを結構残念がっていました。実験をする必要のなくなった、卒業間際ではキラキラにネイルアートしていましたが。。。私は、ネイルをしないので、特になにも思いませんでした!

 しかし、とにかく、手が荒れることはつらかったです。実験する時は、自分の手をアルコール消毒して、培養皿もアルコールを含ませた脱脂綿で拭いたりと、とにかく、アルコール消毒ばかりしていました。器具の洗い物も多かったので、洗剤でも荒れちゃいます。だから、白衣のポケットにハンドクリームを忍ばせていましたよ。

 とにかく、生物を扱う実験なので、清潔さが命となっているのです。そのために、すべてをささげるのですね(笑)

 すこし、大げさなタイトルとなってしまいましたが、清潔さに命をかけるということ、わかっていただけたでしょうか??

2016年11月23日水曜日

実験上手は料理上手?

 よく、研究室の助手さんが料理が上手な人は実験が得意だと思うとおっしゃっていました。

 それはどういう意味でしょう???

 料理が得意な人は、とにかく、段取り力が素晴らしいと思います。この料理を作っている間に別の料理の準備をする。手が空いたら、その都度、洗い物をする。動きに一切の無駄がありません。実験もその段取り力が試されるというのです。例えば、器具の使い方についてです。

 実験で液体等を扱う際、ピペットという液体を吸い出す器具を使用します。これは基本的に、細胞を含んでいる液体を使用した際、その後、他の薬品を吸い出すのに使用することはできません!!絶対にです。

 それはなぜかというと、コンタミという、細胞以外の細菌が繁殖する現象を引き起こす場合があるからです。こうなったら、しばらく実験はできません。また、他の培養皿に菌が移ってしまう恐れもあるので、怖いですね。。。

 つまり、料理で例えると、醤油を計った計量スプーンを洗わないで、塩の入っている容器につっこむことはできないですよね。それに近いのではないかと思います。DMEMを使用した後に、細胞が入っている溶液に触れることはできますが、PBSに触れることはできないのです。
 よって、細胞溶液に使用した器具は捨てなくてはなりません。基本的に、ピペットは使い捨てです。ですが、研究室には予算というものがあります。。。無駄に使ってしまってはいけないですよね。だから、あらかじめ自分が溶液を使う順番を頭の中で決めておく必要があります。最初から細胞溶液にふれるのではなく、他の溶液の調整をしてから、使用するといったように。使い捨てにするピペットを減らすのです。

 それに、事前準備も絶対に必要です。料理する時は、必要な調味料を用意しておきますよね。実験も、使用する薬品を必ず調整しておきます。途中で足りなくなって、溶液をつくっていると、その間に細胞が死んでしまうこともあります。それを防ぐために、必要な溶液はどれくらいなのか、ちゃんと考えておきます。

 これらのことを考えておくためには、正確に実験の方法が頭に入っていることが必須となってきます。料理が得意な人はレシピが頭の中に正確に入っています。もちろん、途中でレシピを見ることがあっても確認程度です。実験上手なひとは、完璧に実験方法を暗記し、事前にシュミレーションまでして、尚且つ、この実験操作は細胞にどのような影響を与えるのかまで理解しているのです。よって、実験の失敗を防ぐこともできます。

 実験上手は段取り上手。きっと、料理も得意なはず!です。こう考えると、実験も身近なものに感じられませんか?

2016年11月20日日曜日

研究室での過ごし方

 研究室は朝から晩まで誰かがいるという感じでした。私は3年生の終りから、卒業研究のために毎日、研究室に行くようになりました。私は就職活動と同時で研究を始めていましたが、他のゼミ生は就職活動に目途が立ったころから実験を始める人もいましたね。

 朝から晩まで電気が消えない日もあります!私は実験の関係で、朝6時に研究室に入ったこともありました。生物系の研究室は、生き物が相手なので、自分で実験をコントロールすることがしにくいのです。幸いなことに、年末年始はお休みをいただけました!ですが、1月5日くらいから再開しましたよ(苦笑)

 生物学の研究室は、細胞が培養皿に接着することや薬物を反応させることに対して、時間がかかってしまいます。よって、待ち時間が長くなってしまうのです。でも、その合間の時間に勉強したり、他のゼミ生と談笑したりしていました。

 実験は上手くいかないことも多く、朝早かったりすると体が疲れてしまうこともありました。ですが、ゼミ生と悩みを共有したり、たまにはお菓子を食べたりと、心がほっとすることもたくさんあったのです。誰かと学生の間、同じ時間を共有して、実験をすることは、なかなかできない経験だったのかもしれません。

 今でも、ゼミ生とは連絡を取り合い、ご飯を食べたりしています。毎日、実験三昧の日々にはもう戻れそうにないですが、ゼミ生との絆は永遠の宝物だと思っています。

2016年11月13日日曜日

生物学科の学生の進路

 今回は、生物学科の学生の進路を紹介したいと思います。

  よく、生物学科の学生はどこに就職するものなのかと聞かれます!

 私の研究室の人達は半分の人が大学院、もう半分の人が就職をしました。ちなみに、私は一般企業で事務職をしていますが、生物学とは無関係です。就職をした友人はSE、銀行員、公務員、サービス業など様々な業界で活躍しています。また、非正規雇用ではありますが、大学の生物系研究所の助手として勤務している人もいます。このように、就職するとなると、意外にも生物学から遠い職業に就く人が多いのです。

 おそらく、生物学そのものでお金を稼ぐことは難しいからだと思います。専門的な勉強をしていても、薬剤師や医師のように資格が取れるわけではないですし、研究できる場もそんなに多くはありません。よって、まったく違う分野で活躍する人が多いのです。

 研究者となるためには、基本的には大学院まで進学することが求められます。ですが、博士号を得たとしても、研究者として働くことは狭き門です。大学に残ることそのものも難しいのが現実のようですね。。。企業の研究室に入ることも難易度が高いと言われています。

 私も出身が生物学系の学部だと会社で言うと、もったいない、なんで事務職を選んだの?と言われることが多いです。理由はとても簡単で、自信がなかったからです。実験はあまり得意ではなかったのですが、好きでした。でも、仕事となるとどうだろうと考えました。大学では自分より手先が器用で、研究の理論の構築が優れた同級生がたくさんいました。この中で頑張れるか、生物学を楽しいと思い続けることが出来るのか考えて、考えました。熟考の結果、自分は大学院で勉強を続けるよりも、社会に出て早く働いた方がいいのではと一般企業への就職を決断しました。

 研究助手への就職も考えましたが、自分の実験の腕一本でこれから先、続けられるのか自信がなく、あきらめました。今でもこの決断は後悔していません。ですが、生物学のことは好きですし、生物学について話す自分はとても楽しそうと人に言われます。好きなことを仕事にはできませんでしたが、今は生物学の楽しさ、面白さを伝えていくことができるのではないかと考えています。

 

2016年11月12日土曜日

培養に用いる溶液2 PBS


 とりあえず、細胞培養の第一段階で使用する溶液はこれが最後です。

 PBSは細胞培養に欠かすことのできない溶液です。これはPBSはリン酸緩衝生理食塩水のことで、phosphate buffered salineといいます。等張に調整されていて、中性を保っています。また、細胞を洗浄する時に使用する、とても重要な溶液です。PBSはKCL, KH2PO4  ,Na・12H2O , NaClを含んでいます。これは室温保存できる溶液ですね。

 さて、PBS DMEM FBSがそろったら、細胞培養がいつでもできますよ!
もちろん、他にも設備が必要ですが。。。

2016年11月6日日曜日

培養に用いる溶液1 細胞培養メディウム②

前回の細胞培養メディウム①の続きです。前回、増殖因子について紹介しました。DMEMには、栄養が入っているので、細胞が自然に増えるので、増殖因子を入れる必要がないのではないかと
思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、基本的に増殖因子を入れて培養します!

動物細胞はDMEMだけでは増殖しないと言われています。(ちなみに、増殖因子にはよく、FBS(ウシ胎児血清)が用いられています)ただ、血清がどのような役割を果たしているのか明確には分っていないそうです。血清を入れておけば、とりあえず、間違いない!ということですね。。。

ちなみに、私はDMEMに対して、10%~20%のFBSを添加して使用していました。また、FBSをDMEMに添加する際、添加に使ったピペットは一旦、FBSにつけてしまうと、DMEMにつけてはいけません。コンタミの原因となります。よって、小瓶にDMEMを先に入れた後、FBSを添加するようにしていました。

このように、培養には細かいルールが存在します。それくらい、細胞は繊細なのです。私は癌細胞を培養していましたが、最初はすぐに死滅させてしまい、困りました。体内では驚くくらい増殖するというのに、培養皿の中ではやはり、繊細なのですね。とても、不思議に感じました。(私の腕が悪かったとも言えます)

2016年11月3日木曜日

培養に用いる溶液1 細胞培養メディウム①


細胞を培養するのに用いる溶液について紹介します。
まずは、DMEM(Dulbecco's modified Eagle medium)と呼ばれる、細胞培養溶液です。細胞を培養皿に播種する時などに使います。色は赤に近いピンクに見えますね。組成としては、アミノ酸、塩(塩化カルシウム、塩化カリウムなど)、グルコース、ビタミンを含みます。これらは、細胞の維持に必要な物質です。また、これでも栄養を含んでいますが、さらなる栄養を加えることもあります(増殖因子など)。また、細胞が死ぬのをふせぐために、抗生物質を入れることも。
 この液体が赤いのは、フェノールレッドという物質が入っているからです。理由としては、培養液は中性に保つことが理想だから。もし、酸性や塩基性になってしまうと、色が変わるようになっています。例えば、液が黄色になっているときは、細胞以外の生物(菌など)が繁殖してしまっている可能性があります。これを、コンタミネーションと言います。略して、「コンタミ」と言う事が多かったですね。こういう場合は、他の培養皿にも菌が移ることがあるので、大変なことになります。。。。
このように、細胞の健康状態を知ることが出来るのです。

2016年10月29日土曜日

細胞培養1~細胞を手に入れる方法~


みなさんは細胞をどのように培養するのか、知っていますか?そもそも、細胞って、どこで手に入れるの?そう思いますよね。
実は、細胞は購入できてしまうのです。私の大学の研究室では、理化学研究所から入手しました。
下記のリンク先のホームページで詳細な購入方法が書かれています。

理化学研究所ホームページ

http://ja.brc.riken.jp/



もちろん、個人では設備がないので購入自体難しいかもしれませんね。。。私達はゼミで申込書を記入し、ゼミの先生に許可をいただいてから、購入しました。それからしばらくして、凍結された細胞が届けられます。

大抵は大学の研究室で以前から増やされて保存されている細胞がありますので、それを使用することもあります。細胞はどんどん増やしていくことで、実験し続けることが可能なのです。




2016年10月15日土曜日

はじめに

 こんにちは。私は、大学で生物学を勉強していた、すみれと申します。
生物学が大好きで、楽しかったのですが、結局、大学を卒業して生物学とは無関係の仕事に就きました。
 ですが、社会人になっても生物学の楽しさを忘れてはいません。生物学の話をすると、意外なことに、たくさんの方が面白い、もっと聞かせてと言ってくれます。もしかしたら、一般の人の中には、自分の体や周りの生き物について興味を持っている人が、たくさんいるのかもしれない。そう思いました。そのような方々に生物学の面白さを発信していきたい!と思うようになり、ブログ開設を思い立ちました。

これから思いつくかぎりの生物学の面白さを伝えていこうと思います。生物学そのものの面白さ、生物学の学生生活、就職事情などなど。。。たくさん書いていこうと思います。

また、最後にブログの開設のきっかけを与えてくれた皆様に感謝の気持ちを込めて。


2016年10月15日  すみれ